Q56 数次相続で「申告期限延長」が認められる事例

 最終更新日:2022/02/25 閲覧数:8,417 views

 

前回、数次相続の場合には、「相続権を相続した方」に「申告期限延長の特例」が認められるケースがあることをお伝えしました。
 
しかし、「相続権を相続した方以外」には「申告期限の延長」が認められていません
 
具体的にはどういうケースでしょうか?

 

1.  申告期限の延長が認められる場合


 

(1) 事例

サザエさんに例えます(毎回、例えがサザエさんで・・すみません)。
波平(父)、フネ(母)、サザエ(長女)、カツオ(長男)、ワカメ(次女)、マスオ(長女の夫)、タラちゃん(長女の子)
この度、波平が亡くなり、波平の「遺産分割協議確定」に、フネが亡くなりました。
フネ自身には、サザエ、カツオ、ワカメ以外に相続人はいないものとします。

 

  • 波平 平成29年1月1日死亡
  • フネ 平成29年5月1日に死亡(波平の遺産分割協議確定

 
56-1
 



 

(2) 波平の遺産分割協議

 

フネ死亡前の波平の相続人の地位 もし、フネが死亡していなければ、「波平の相続人の地位」は、妻であるフネ&子であるサザエ、カツオ、ワカメが保有していました。
波平の相続人の地位 フネ死亡により、フネが有していた「波平の相続人の地位」は、子であるサザエ、カツオ、ワカメが引き継ぎます。
波平の遺産分割協議 上記の結果、「波平の遺産分割協議」は、子供である①サザエ②カツオ③ワカメ(次女)の3人で行います。

 



 

(3) 波平の相続税申告書期限

 

サザエ・カツオ・ワカメ フネの代わりに、サザエ、カツオ、ワカメが行う波平の相続税申告期限は11月1日⇒3月1日に延長されます。

 

  • 申告期限の延長期間については、Q55をご参照ください



 

2. 申告期限の延長が認められない場合


(1) 事例

サザエさんに例えます。
波平(父)、フネ(母)、サザエ(長女)、カツオ(長男)、ワカメ(次女)、マスオ(長女の夫)、タラちゃん(長女の子)
この度、波平が亡くなり、波平の「遺産分割協議確定」に、サザエが亡くなりました。
サザエ自身には、マスオ、タラちゃん以外に相続人はいないものとします。

 

  • 波平 平成29年1月1日死亡
  • サザエ 平成29年5月1日に死亡(波平の遺産分割協議確定

 
56-2
 


(2) 波平の遺産分割協議

 

サザエ死亡前の波平の相続人の地位 もし、サザエが死亡していなければ、「波平の相続人の地位」は、妻であるフネ&子であるサザエ、カツオ、ワカメが保有していました。
波平の相続人の地位 サザエ死亡により、サザエが有していた「波平の相続人としての地位」は、マスオ(夫)&タラちゃん(子)が引き継ぎます。
波平の遺産分割協議 上記の結果、「波平の遺産分割協議」は、①フネ(妻)、②カツオ(長男)、③ワカメ(次女)、④サザエから「波平の相続人の地位」を引き継いだ人(マスオ、タラちゃん)で行います。

 



(3) 波平の相続税申告書期限

 

フネ・カツオ・ワカメ 11月1日(当初予定通り)
マスオとタラちゃん
(サザエから「波平の相続人の地位」を
引き継いだ人)
サザエの代わりにマスオとタラちゃんが行う「波平の相続税申告期限は、
11月1日→3月1日に延長されます。

 

  • サザエ死亡により、「波平の相続人の地位」を引き継いだマスオとタラちゃんが行う「波平相続税の申告期限」は3月1日に延長されます。
    (⇒マスオとタラちゃんが行う「サザエの相続税申告期限」=3月1日と同日になる)。
  •  

  • 一方、サザエ死亡の影響を受けない、フネとカツオ、ワカメが行う「波平の相続税申告期限」についての延長はなく、当初予定通り11月1日となります。
  •  

  • 申告期限の延長期間については、Q55をご参照ください。

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