Q71【非課税財産】墓地や仏壇などに相続税は課税されるのか?債務控除は?/交通事故の損害賠償金や一身専属権は?

 最終更新日:2023/07/07 閲覧数:6,701 views

 

相続税は、原則として「金銭的な価値」があるものは、すべて相続税の課税対象となります。
ただし、例えば、墓地や仏壇などについては、国民感情等を考慮して、例外的に、相続税が課税されません。
 
つまり・・例えば、生前に「墓地等を購入」しておけば、その分現金が減り、相続税が節税できることになります。

 
今回は、相続財産のうち、相続税が課税されない「非課税財産」につき解説します。

 

1. 祭祀財産

祭祀財産(さいしざいさん)とは、墓地や墓石、仏壇、仏像や位牌、神棚などです。
こういった、日常礼拝の用に供している財産には、相続税は課税されません。
 
ただし、骨とう的価値があるなど「投資の対象」となるものや、「商品として所有」しているものには、相続税が課税されます。つまり、一般常識的な判断として、「特に高価な祭祀財産」の場合は、税務署から否認され、相続税の課税対象となるおそれがあります。
 
例えば、非課税になることを利用して、明らかに不自然に「高価な仏具」などを購入した場合は、認められない場合がありますので、注意が必要です。
 

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なお、香典については、喪主に対して送られるものですので、「相続財産」にはなりません
 

2. 国や地方公共団体等に寄付をした相続財産

相続や遺贈によって取得した財産でも、相続税申告期限までに国・地方公共団体・公益目的事業を行う特定の法人に寄附したもの、あるいは特定の公益信託の信託財産とするために支出したものには、相続税が課税されません。
 

3. 非課税限度枠内での生命保険金・死亡保険金

生命保険金や死亡退職金は、受取人固有の権利となるため「相続財産」ではありませんが、他の相続財産と同様に「財産価値」を有するため、みなし相続財産として「相続税の課税対象」となります。
ただし、「500万円×法定相続人の人数」までの「非課税限度額」が認められていますので、当該非課税限度額内であれば、相続税は課税されません。
 
なお、会社から受け取る、「弔慰金」は、「常識的な金額」であれば、原則として相続財産にはなりません。
 

4. 公益目的とする財産等

上記の他、相続税上、下記のものが「非課税」として規定されています。
 

公益を目的とする事業に使われることが確実なもの 宗教、慈善、学術、その他公益を目的とする事業を行う一定の個人などが、相続や遺贈によって取得した財産で公益を目的とする事業に使われることが確実なもの
心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利 地方公共団体の条例によって、精神や身体に障害のある人又はその人を扶養する人が取得する心身障害者共済制度に基づいて支給される給付金を受ける権利
幼稚園の事業に使われていた財産 個人で経営している幼稚園の事業に使われていた財産で、一定の要件を満たすもの

 

5. そもそも相続財産にならないもの

(1)一身専属権

被相続人が保有していたものでも、そもそも相続財産にならないものがあります。「その人だけが持つ資格や権利」などです。これらは「一身専属権」と呼ばれます。例えば、国家資格(医師免許等)や、運転免許などです。
また、養育費請求権、扶養請求権、生活保護受給権なども相続できません
 
上記については、その性質上、被相続人が個人として認められていた権利であり、被相続人の死亡と同時に消滅します。逆に養育費支払義務などは債務控除できません。
 

(2)交通事故等の損害賠償金

例えば、事故等で遺族に入ってくる損害賠償金などは、遺族の精神的苦痛に対する賠償として支払われるため(=遺族の所得)、相続財産にはならず、相続税は課税されません。

なお、遺族側の所得税も非課税となります。
 

6. 相続税節税のための留意事項

(1)生前に購入しておく

お墓や仏壇などは高い買い物ですので、被相続人が祭祀財産を生前に購入しておけば、「相続財産」が減少し、相続税の節税が可能です。ただし、被相続人が亡くなった後に、相続人が相続財産である現金等から「祭祀財産」を購入しても、既に相続は終わっていますので、非課税にはなりませんので、注意しましょう。

 

(2)ローンは債務控除対象外

生前に、「祭祀財産」を購入した場合でも、ローンで購入した場合は相続税の節税にはなりません
ローン購入の場合は、現金が減少しないため、相続財産は減少しません。また、「相続時の被相続人のローン残高」は、相続税計算上の「債務控除」の対象にもならないため、結果的に相続財産の圧縮にはつながらないためです。

 

7. 参照URL

(No.4108 相続税がかからない財産)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4108.htm
 

(No.4111 交通事故の損害賠償金)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4111.htm
 

8. YouTube


 
YouTubeで分かる「非課税財産」
 

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