当たり前ですが、「相続対策」は、生前に実施しておかなければいけません。
そもそも「相続対策」っていったい何なんでしょうか?一番頭に浮かびやすいのは、「節税対策」かもしれません。
でも、実は・・相続対策は、「節税」の論点だけでは終わりません。
例えば、相続財産のほとんどが、換金性のない「不動産」や「非上場株式」の場合はどうでしょう?
いくら節税できたとしても、支払うべき「納税資金」がなければ、デフォルトしてしまいます。
また、相続財産がうまく分割できず、相続人間で争いが起こってしまったらどうでしょう?
どちらも「相続対策」がうまくいったとは言えませんね。
つまり、相続対策をするためには、「節税対策」だけではなく、「納税資金対策」や、「遺産分割対策」も同時に考えておかなければいけないってことです。
漠然と「相続対策しなきゃ?」とお考えの方は、まずは、今の自分は、どの対策が必要なのか?頭の中を整理してみましょう。
相続人が複数の場合は、財産を分割しなければいけません。
でも実際・・・相続財産すべてが「預金」のケースは、ほとんどありません。
「不動産」や「非上場株式」など、分割が困難な資産が含まれているケースがほとんどですね。
遺産分割対策としては、まずは分割しやすい(=換金しやすい)財産にしておくことが考えられます。
また、分割時に、相続人間で争いが起きないような「事前準備」も必要です。
これは、「相続税の申告有無」や「税金発生」に関係なく必要な対策です。
主な遺産分割対策はこんな感じです。
不動産を売却し、換金性の高い現金等に変えておくことで、相続時の遺産分割の難易度は下がります。
一般的に、不動産の売却は時間がかかることが多いですので、余裕をもって準備しておきましょう。
当たり前ですが、生前贈与は生きているうちに行いますので、本人の思い通りに財産を分割することができます。
相続後に財産を分割するよりも、明らかにスムーズです。
実は、これが一番大事です。生前に、誰に?何をいくら相続させるか?決めておくことが「遺言書の作成」です。
自分の意志で決めることができますし、遺言があると、相続人間も納得感があり、争いが起きにくくなります。
相続対策で、一番イメージしやすいのがこの論点かもしれません。相続税自体を下げるための手法となります。
年間110万円まで「贈与税」の非課税枠があります。長期に活用することで、贈与税を負担することなく、相続財産を減らすことが可能です。
婚姻期間20年以上の配偶者に、住宅・住宅取得のための資金を贈与する場合は、2,000万円まで贈与税配偶者控除があります。
最大1,500万円まで、「住宅取得等資金」の贈与税の非課税枠があります。要件がありますので、事前にチェックが必要です!
1人につき1,500万円まで贈与税の非課税枠があります。
(ただし、子供が30歳になった時に未利用の分は、贈与税がかかる点、注意)
居住用・事業用・貸付事業用等の不動産を相続する場合に、評価額を50%~80%減額してもらえる制度です。
要件が複雑ですので、注意です。
不動産を購入すると、現金保有の場合と比較して60%~80%程度に評価が下がります。また、不動産を他人に賃貸すると、評価額はさらに下がります。
生命保険には、相続税上一定の非課税枠が認められています。生前に被相続人が保険を支払っておけば、相続財産自体を減らすことにもなります。
養子も「法定相続人」になりますので、養子縁組をするだけで「基礎控除」や「生命保険金等」の非課税枠の額が増えます。
ただし、亡くなった方に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は、2人までの制限があります。
相続税を安く抑えることができても、相続財産が分割困難なもの(非上場株や不動産等)しかなければ、相続税が支払えない危険があります。
そこで、納税資金対策が必要となります。
主な納税資金対策は、こんな感じです。
不動産があれば、生前に売却しておくことで、納税資金を確保しておきます。
一般的に、不動産の売却は時間がかかるケースが多いですので、余裕をもって準備しておきましょう。
なお、売却時には所得税がかかりますので、所得税との兼ね合いにも留意しましょう
(売却が相続税申告期限後3年以内であれば、払った相続税の一部を「取得費」として控除でき、所得税を減らすことができます)。
受取人を相続人にする「生命保険」をかけておけば、納税資金の確保が可能となります。
配偶者については、「配偶者の税額軽減措置」がありますので、一般的には、生命保険の受取人を配偶者以外、例えば「お子さん」にしておく方が、有効なケースが多いです。
金融機関から借入で納税資金を確保します。
金利負担はありますが、相続税の延滞税と比べると、一般的には安く収まることが多いです。
名前の通り、お金ではなく、「モノ」で相続税を納付する方法です。
税法改正があり、「物納要件」は厳しくなっていますが、要件を満たすようであれば、有効な納税資金対策になります。
贈与税はかかりますが、賃貸不動産等を相続人に贈与しておけば、相続人は家賃収入を収受できますので、納税資金を確保できます。
相続対策は、長い年月をかけて実行していく方が、効果は高くなります。例えば、生前贈与(暦年贈与)の限度は年間110万円ですので、10年⇒1,100万、20年⇒2,200万円となります。これを見れば一目瞭然ですよね!
早めに始められることをお勧めします。
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