Q108 相続実務での「除籍謄本」の意味

 最終更新日:2023/01/01 閲覧数:5,668 views

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相続財産の名義変更をする際に、銀行や法務局などから、「除籍謄本」の提出が求められる場合があります。
今回は、「除籍謄本」の内容と、相続実務で「除籍謄本」と言われた場合の実質的な意味を解説します。

 

1. 除籍謄本とは?

現在の戸籍は、「夫婦とその子供2世帯のみが単位」となっています。
子供が結婚した場合は、子供は親の戸籍から抜けて、子供夫婦が新しい戸籍を作ります。
そして、その子供夫婦に新たな子供(孫)が生まれると、その「新しい戸籍」に子供(孫)が入ってきます。
 
このように、「戸籍は最大でも2世帯まで」ですので、いずれは、戸籍には誰もいなくなります。
戸籍謄本に記載されている人が1人ずつ抜けていき、最終的に誰もいなくなると、その戸籍は閉鎖されます。
この閉鎖された戸籍を証明するものが「除籍謄本」となります。
 
まとめると、「除籍謄本」とは、死亡、結構、離婚等により、その戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態の戸籍の「証明書類」となります。


 

2. 相続実務での「除籍謄本」

相続実務では、「除籍謄本」という単語が、正式な意味での「除籍謄本」ではなく、単に「被相続人の死亡が記載された戸籍謄本」を指すものとして使われる場合が多いです。

 
例えば、銀行や法務局などで名義変更する場合には、「その人が亡くなったことを証明する書類」が必要となります。
その際、単に「除籍謄本をお願いします」と言われた場合は、その戸籍に記載されている人が誰もいなくなった状態の「除籍謄本」が要求されているわけではなく、単に「被相続人の死亡により除籍となった旨が記載されている戸籍謄本」を提出すれば事足ります。相続人が死亡したからといって、すべての戸籍が「除籍謄本」になっているとは限りませんので。
 
このように、実務では、単に「除籍謄本」という言葉が、「その人が亡くなったことを証明する書類」として利用されている点に注意しましょう。
単に「除籍謄本」といわれた場合は、「その人が除籍されている戸籍謄本または除籍謄本」を指しているものとして理解すれば、問題ありません。


 

3. 除籍謄本が必要になるケース

相続財産を名義変更する場合や、相続人確定、相続税申告書を提出する際に必要となります。
例えば、預金通帳、不動産、自動車、株などを名義変更する際、相続人が亡くなったことを証明する(=相続が発生したことを証明する)書類として、提出が要求されます。

 

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